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コスメもファッションもアンチエイジングのためのジョギングも、ちょっとだけ脇に置いておきまして、今回の日記ではまったく別のお話をさせていただきます。僕のことをこのブログで知っていただいた方もいらっしゃると思いますが、僕は副業(?)として、弟がやっている音楽レーベルのブレーンをしています。リリースするアーティストを世界中から発掘してきたり、その解説を書いたり、コンピレーションを制作したり、来日したアーティストを実家に泊めて飲み食いさせて世話を焼いたり、「何でも屋」というのが正しいところですが。
「Lirico」という名前のそのレーベルは、発足してからまだ一年と少ししか経っていません。現時点で、オーストラリア人のシンガーソング・ライター(以下SSW)、カナダのバンド、ノルウェー人SSWの三アーティスト、四枚のアルバムをリリースしています。今秋にはそこにもう一人仲間が加わる予定になっています。それらの詳細については以下のサイトをご覧いただけたらと思います。「センチメンタル」「ノスタルジア」「メランコリック」「リリカル」。これらのキーワードがレーベルの音楽的支柱となっています。ついつい感傷的になったり、たちまち郷愁にいざなわれたり、否応なしに憂いでしまったり、たちどころに叙情的な光景を思い浮かべてしまう、そんな歌に溢れています。歌心しかありません。核となるのは人間の声なのです。 http://www.inpartmaint.com/lirico/ さて、本題に入らせていただきます。今週末より、Liricoレーベルの大黒柱でもあります、タマス・ウェルズの来日ツアーがスタートします。彼はオーストラリア人のSSWなのですが、自分の名前を冠したバンドでも活動しています。にわかに信じ難く、少々どころかかなり大袈裟に思われるかもしれませんが、タマスの声は「天使の歌声」と称されています。まずはそれに耳を傾けてみてください。 http://www.myspace.com/tamaswells どうでしょうか。ちょっとしたSSWブームが沸き起こっているこの時世と時流に逆らうような、決して派手ではない音楽ですが、聴く人の胸に訴えるものがあると僕らは思っています。それはひとえに、「才能」と呼ばれるたぐいの、多くの人が自分には関係などないものと決め付けるような条件から生まれるものではなく、彼の生き方の哲学とそれに準じた職業、ならびに現在の住環境からきている要素が多いのです。 タマスの本職はソーシャルワーカーであり、技能者です。オーストラリアのNGOに在籍し、そこから世界各地に派遣されて当地の人々を支えることを生活の糧としています。彼はこの二年半の間、ミャンマーに基盤を置いていました。軍事政権のかの地で、HIV感染予防の地域保健活動のために身を粉にして働いていたのです。子供たちへの感染拡大が著しい状況下にあるゆえに、未来ある彼らのために。ちなみに同じNGOに所属している彼の妻は医師であり、彼女はミャンマーにおける麻薬汚染に対して奮闘しています。そんな、アーティストとしては異色の顔を持つタマス(まあアーティストの方が完全な副業ですが)が、この五月に二年ぶりとなるニューアルバムをリリースしました。詳細は以下のページをご覧ください。いまだ誰の記憶にも新しいミャンマー軍事政権に対する反政府デモの悲劇。あそこで流れた血の数々、積み重なった屍と殴打される僧侶、怒れる民衆。そんな非道徳的光景と終わりのない悲しみを受けて制作された一枚なのです。 http://www.inpartmaint.com/lirico/lirico_title/LIIP-1504.html 今回は、発売されたばかりのアルバムを引っ提げての日本ツアーとなります。しかし、ツアー詳細が発表された直後、彼はミャンマーの首都ヤンゴンでサイクロン「ナルギス」の被害に直面しました。五月に上陸して猛威を奮い、実に8万5千人もの命を無残にも奪い去った天災。連絡がプツリと途絶え、一時は生命の心配までもしていたのですが、彼らはなんとか無事だったようです。しかし、一命は取りとめたものの被害は甚大であったことは言うまでもありません。さんざんニュース映像で流れた通りです。タマスは、その後の復興活動に従事することで日々を過ごしてきました。夜はライブの練習をし(おそらく)、昼間は深刻な被害の場所へと赴き、自分たちに出来ることを可能な限り行うだけ。彼の目に映った光景は、それはおぞましいものだったでしょう。阿鼻叫喚の地獄絵図、まさに凄惨を絵に描いたような景色。およそこの世のものとは思えないようなものばかりを目にしてきてもなお、いや、だからこそ彼の歌声の美しさはさらに純度を増しているのだと思います。彼の歌声は悲劇が重なれば重なるほど美しさがいや増す。恐ろしい符丁として、彼が滞在する場所、これから訪れる予定をしていた国で天からの災いによる被害が拡大しているのです。ミャンマーはもとより、ここ日本(岩手・宮城地震)。そしてその後に向かうはずだったツアー先の中国(四川大地震)。もちろん、このことは話半分で流すのが一番ですが。 僕たちにできることは、彼の歌を届ける場所や空間を特別なものにすることだけです。ですから、通常のライブハウスでの演奏を今回は選択しませんでした。下記のページを見ていただけたらわかりますが、由緒正しき教会(青学会館グローリーチャペル)、かのフランク・ロイド・ライト公が設計した重要文化財(自由学園明日館 講堂)、カフェのメッカ(鎌倉 Café vivement dimanche)、大正時代に設立された銀行だった建築物をリノベーションしたSPA&Café(京都 flowing KARASUMA)などなど。ただひたすらに鳴らされる音を重視し、それが響く空間形成を第一に考え、聴いていただく皆様の身体的コンディションに重きを置きました。ここでは、侵入してくる外敵もなければ時代がもたらす閉塞もありません。心地よさと解放と心底からのリラックス。アロマテラピーの効用を音楽でやってのける、と言えばわかりやすいかもしれません。 http://www.inpartmaint.com/lirico/tamas_tour2008.html 宜しければ、訪れていただければ幸いです。
by fabulous-weeds
| 2008-06-26 16:00
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